今月の本: |
『城』 (カフカ ) |
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実施日時: |
2012年4月21日(土)14:00〜17:00 |
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今月の会場: |
西武池袋線 石神井公園駅・徒歩1分
石神井公園区民交流センター 和室(2)
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参加費 : |
350円(会場費・資料コピー代に補填します) |
懇親会 : |
終了後希望者で懇親会を行います(会費2500円程度) |
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今月の作品はカフカの『城』です。
日本では短編の『変身』がよく読まれているように思います(桂冠塾では第59回で取り上げました)。カフカには3つの長編が残されており今回取り上げる『城』はそのひとつです。
物語は測量師Kが仕事の依頼を受けた伯爵の住む城の麓村に辿りついたシーンから始まります。
到着が夜更けになったため宿屋を探して酒場のすみで眠りつくがすぐに起こされる。執事の息子と名乗る男は、Kに対して村は城の所領だから許可証なしでは泊まれないという。ひと悶着あるがKが伯爵の依頼を受けた測量師であることは明らかになる。
しかしここから先には何一つ物事が進まない。
城に行って話を聞こうとするが城に通じる道が見つからず辿りつくことができない。夕刻宿屋に戻ると城から命じられたという助手2名が派遣されている。しかし彼らはKの指示など聞こうとしない。しかも彼ら2人はKの以前からの助手だとされている。
この辺りから読んでいる読者は登場人物の辻褄の合わない会話に居心地が悪くなっていく(^^;。小さな、しかしはっきりとした心の中のざわつきのような感じである。
そもそも測量の仕事自体があるのかないのかもわからない。誰が依頼したのかすらわからない。そこに城の使者バルバナスが登場しクラム長官からの手紙を手渡される。Kの上司は村長だと書かれている。
Kは何としても城に行こうとして豪雪の中をバルバナスについて行くが、到着したのは村の中にあるバルバナスの家だった。次の手を考えたKはバルバナスの妹に城の役人が宿泊する宿に連れて行ってもらい、城の人間に会おうとするが実現できない。
宿の酒場で働く給仕フリーダに惚れてしまい翌日には一緒に生活を始める。
村長に合ったKは経緯を聞く。Kへの依頼にはいくつかの手違いと城が有している官僚組織の弊害があることがわかるが、測量の必要は全くないと話す。
そのかわりに学校の用務員として雇うと村長から提案されるが....
何が事実で何が虚構なのか。
Kがこだわっているものは何なのか。
そして城に辿りつけないという事実の意味するものとKの存在とは?
物語全体に流れる、かみ合わない会話と対応はカフカの意図なのか。
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