今月の本: |
『ファウスト』(ゲーテ) |
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実施日時: |
2010年1月23日(土)14:00〜17:00 |
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今月の会場: |
西武池袋線大泉学園駅・徒歩3分
勤労福祉会館 和室(小)
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参加費 : |
350円(会場費・資料コピー代に補填します) |
懇親会 : |
終了後希望者で懇親会を行います(会費2500円程度) |
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今回取り上げる作品はゲーテ作『ファウスト』です。
作者であるヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは、世界を代表する詩人であり作家である。そのゲーテが生涯を掛けて書き続けたのがこの作品です。
『ファウスト』は当時広く知られていた「ファウスト伝説」をモチーフに創作されています。この伝説は、16世紀後半(ルネサンスと宗教改革の時代)にドクトル・ファウストの人物にまつわる話としてドイツで生まれ、フランクフルトの印刷業者シュピースによって1587年に『ドクトル・ヨーハン・ファウストの物語』の題名で出版されてヨーロッパ全域に知られるようになったといわれています。
その後、英訳本を元に劇作家マーロウによって戯曲化されてドイツに戻り、民衆劇や人形劇として庶民生活に広く浸透していきます。
さらに18世紀に入り、ファウスト伝説は大きな変化の時期を迎えます。いわゆる啓蒙主義時代の潮流とも相まって、「真理追究者としてのファウスト」像が確立されます。
元々のファウスト伝説は知識欲の末に悪魔との契約をしたファウストが最後はその契約によって地獄に落ちて永劫続く罰を受けるというものです。
知性優良な百姓の子ファウストが神学を究めますが、それだけに飽き足らず魔術を学び、医術、天文数理と際限なく学び続けます。そしてついに魔法で呼び出した悪魔と契約をします。
それは
「24年間は悪魔の援助を受けて、地上のあらゆる知識と快楽に得る代わりとして、キリスト教の敵として行動する。約束の期限が来たら、魂と肉体を悪魔の自由に任せる」
というものでした。
ファウストは24年間思うがままの人生を送り、その結果として地獄に落ちるという結末を迎えます。
18世紀に描かれる「ファウスト」は最後のシーンに至って、24年間自由奔放に生きたファウストは仮の姿であるという天からの神の声が響き、悪魔の企みは破綻する。夢から覚めたファウストは天の警告に感謝し、今まで以上に信仰に精進するという展開が用意されています。
1749年生まれのゲーテは、こうした様々なファウスト伝説に少年時代から紙芝居や物語本を通して接しており、20代初めには既に自分なりの『ファウスト』伝説を書いてみようと思い描いたとされています。
こうして誕生したしたゲーテの『ファウスト』。
作品は二部構成で、第一部は1806年春に完成し1808年に発表されました。第二部は1816年に起草されます。『腹案』とされる執筆を経ながらも途中で作品の完成を断念する時期を乗り越えて1831年7月に草稿が完成します。その後も推敲を加えようとしたと思われますが、ゲーテは1832年3月にこの世を去ります。
同年『ファウスト・悲劇第二部』として発表されました。
こうして60年の年月を費やして完成した『ファウスト』。そこにはゲーテが生涯をかけて訴え続けた魂の叫びがあるように思えてなりません。
2010年の年頭に当たり、多くに皆さんと共々に読み合ってみたいと思います。
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http://prosecute.way-nifty.com/blog/2010/02/58-2239.html
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