今月の本: |
『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー) ※後半 |
|
実施日時: |
2012年2月25日(土)14:00〜17:00 |
|
今月の会場: |
西武池袋線石神井公園駅・徒歩1分
石神井公園区民交流センター 会議室(1)
|
|
参加費 : |
350円(会場費・資料コピー代に補填します) |
懇親会 : |
終了後希望者で懇親会を行います(会費2500円程度) |
|
|
先月に引き続き『カラマーゾフの兄弟』を取り上げます。
いよいよ作品は佳境に入ります。
ドロドロとした親子の相克の争いは殺人という形で大きく展開していきます。
フィードル・カラマーゾフが殺害され父親殺しの犯人として長男ドミートリーが逮捕、裁判が進んでいきます。メインとなるストーリーに加えて、ゾシマ長老の死にまつわる人々の心の動きや科学の進展に伴う無神論的生き方の是非が問われていきます。
キリスト教の信仰のあり方で人の幸福を築くことができるのか。
そして人生を絶望して生きてきた底辺の人々がそれでも希望を持って生きていこうとする前向きな生き方が現実の生活の中でなんども押しつぶされていきます。
一人の人間の中にあって何度も右に左に揺れ動く心の危うさ。真実の思いとはどこにあるのか。そもそも自分自身においても真実の気持ちを持っているのかさえあやふやに思えてきてしまいます。
次兄イワンのモスクワでの秘められた行動をどのようにとらえるのが適切なのか?多くの人は「否」とは言えるとしても、なぜ彼がそのような行動にのめり込んで行ったのか、どうすれば別の道を歩めたのか、その答えを求めることは容易ではないと感じます。
判決の前日にはスメルジャコフが自殺、イワンは直後の裁判の場で自身が突き止めた真実を公にしますが聴衆の反応は...そしてイワンは精神病で発狂します。
一般的な書評では「父親殺しの推理小説」のように書かれていることも多い本作品ですが、ドストエフスキーがこの作品で訴えるものはその程度のことではないのは自明の理です。
人々の思いはどこに行くのか。
そして三男アリョーシャの行動は...。
ドストエフスキーの遺稿となった『カラマーゾフの兄弟』。
少しでも筆者の思いに迫っていきたいと思います。
|