プロセキュート
 ※第2期
【第11回実施内容】 ※通算33回
テーマ: 消費者市場と購買者行動
実施日時: 2006年6月2日(土)14:00〜17:00
会場: 西武池袋線中村橋駅・徒歩5分
【主宰者から一言】
前回まで考察してきた市場とマーケティング環境を大きく2つに分類して分析を試みます。今回は、そのひとつである消費者市場にスポットをあて、その市場としての特性と、そこにおける購買者(消費者)行動をみていきました。
購買決定及び購買後にいたるプロセスを考察しながら、消費者が購買を決める決定的要素が何であるのかを現実に即して考えてみたいと思います。
■当日のスケジュール
時間帯 テーマ・内容
14:00 〜 購買行動に影響を与える主な要因
16:30 〜 購買決定のプロセス
購買決定プロセスの段階
消費者の購買行動を決定する要素とは
■今回のポイント
今回のポイントは、不確定な消費者行動をどこまで法則的に捉えることができるかという問題へのアプローチでもあります。
消費者の購買行動を100%解明することは至難の業です。
それは、想定外の行動をとる消費者が存在するからであり、消費者自身がなぜその行動を行なうのか、説明ができないケースが多々発生するからだと言えます。
しかし、すべてを説明できないからといって、購買行動への考察を適当に行なっていたのでは、事業を成功させる確率を高めることはできません。

考察のポイントは
1)購買行動に影響を与える主な要因を的確に把握する
2)購買決定に至る購買プロセスを解明する
3)個々のケースに当てはめて現実的な購買行動モデルを策定する
ことになるでしょう。
そのうえで、購買行動モデルで把握できる消費者の割合を把握しながら、事業に活用することが必要になります。

こうした考察を行なう場合に留意しなければならないことが少なくとも二つあると私は思います。
ひとつは、机上の空論にならないよう、具体的な事例を想定しながら考察を進めること。もうひとつは、思い浮かべた事例に囚われると他の状況の事業に対応できる考察ができなくなるという点です。
より具体的に、かつ、よりフレキシブルに考察を行なう。
これも事業経営の必要要件であると感じます。
■主なテーマ
.
個人、集団、組織が、
製品、サービス、アイデア、経験を、どのように選別し、
購買し、使用し、廃棄するか。


マーケティングの目的は、標的顧客のニーズと欲求を満たすことにある。
消費者行動モデル
購買者が、外部からの刺激を受けてから購買決定を下すまでの間に、何が起こっているか。

T.購買行動に影響を与える主な要因

■文化的要因
1:文化
人の欲求と行動の最も根本的な決定要素
子供は成長過程で、家族や学校を通じて、一定の価値観、知覚、選好、行動を身につける。
2:サブカルチャー
文化は、小さなサブカルチャーで構成される。
構成する人々の特徴や社会のあり方を、より規定している。
国籍、宗教、人種、地理上の地域が含まれる。
3:社会階層
社会の中で、比較的同質的で持続性のある集団。
序列によって区分され、同じ階層の人々は、同様の価値観、関心、行動を有する。
収入、職業、教育、居住地も指標のひとつ。
社会階層の特性
1)類似した行動パターンを取る。
2)属する社会階層によって優劣がつけられる。
3)複数の変数によって規定される。
4)ある階層から別の階層に移動することができる。
〔参考:アメリカの主な社会階層の特性〕
1)最上流 (1%未満)
2)上流の下 (2%)
3)中流の上 (12%)
4)中流階層 (32%)
5)労働者階層 (38%)
6)下層の上 (9%)
7)最下層 (7%)

■社会的要因
1:準拠集団
その人の行動や態度に、直接または間接的に影響を与える全ての集団。
メンバーシップ・グループ(直接影響を与える集団)
第一次集団:持続性があってインフォーマルな付き合いのある集団。
第二次集団:フォーマルで、毎日顔を合わせることのない集団。
準拠集団から受ける影響
1)新しい行動やライフスタイルを個人に示す。
2)個人の態度と自己概念に影響を与える。
3)周りと同じでなければならないというプレッシャーを与えるため、特定の製品やブランドが選ばれるようになる。
準拠集団の影響が強い製品やブランドメーカーの対応
→ オピニオンリーダーにメッセージを伝えて影響を与える方法の確立

●参考
願望集団:
分離集団:

2:家族
社会で最も重要な購買組織。
最も影響力の強い第一次準拠集団。
購買者の人生には2つの家族がある
1)両親と兄弟<方向づけのための家族>
2)配偶者と子供<生殖のための家族>
家族における購買行動の変化
1)家族の中で女性が台頭
2)子供と10代の若者による影響力と購買金額の増加
少子高齢化(6ポケット現象)
〔参考〕子供をターゲットにしたマーケティングの倫理規定の確立

3:社会的役割とステータス
社会的役割     → その人が果たすべき行動。
ステータス(地位) → 役割にはステータスが伴う。

■個人的要因
1:年齢とライフスタイルの段階
家族のライフサイクルの9段階
1)独身段階
2)新婚カップル
3)子供にいる家庭T(一番下の子が6歳未満)
4)子供のいる家庭U(一番下の子が6歳以上)
5)子供のいる家庭V(子供と同居の年配夫婦)
6)空の巣T(子供と非同居年配夫婦・家計担い手あり)
7)空の巣U(子供と非同居年配夫婦・家計担い手なし)
8)配偶者と死別T(仕事に従事)
9)配偶者と死別U(仕事を引退)
〔参考〕心理的なライフサイクル(人生における通過や経験)
2:職業と経済状態
職業と購買パターンの関係
製品選択への経済状態の影響
経済状態
1)支出可能な支出レベル
2)貯蓄と資産
3)負債
4)借金をする際の信用度
5)消費と貯蓄に対する考え方
3:ライフスタイル
活動、関心、意見などに現れる人それぞれの生活パターン。
心理的特性に基づく8つの集団
1)実現者
2)充足者
3)達成者
4)経験者
5)信奉者
6)懸命者
7)創作者
8)苦悩者
性格と自己概念
性格   → 個人の心理的特性。
周囲の環境に対して比較的一貫した反応を継続的に示す。
例)自信がある、支配的、自主的、従順、社交的、防御的、順応的
自己概念 → 自己イメージ。
ターゲットの自己イメージに合致するブランドイメージの確立。

■心理的要因
1:動機
1)生理的ニーズ
2)心理的ニーズ
●フロイトの動機理論
人は自分の行動を形成する心理的動機に対しては概して無自覚であり、完全に把握できない。
明確に言葉にされた動機から、さらに深い動機を探っていく。
●マズローの動機理論
人が特定の時期に、特定のニーズを持つ理由は何か。
人のニーズは、緊急度の高いものから、低いものへと至る階層構造である。
人は、最も重要なニーズから先に満たそうとする。
満たされると、それは動機でなくなり、次に重要なニーズを満たそうとする。
●ハーツバーグの動機理論
2要素論
@不満を引き起こす要素
A満足を引き起こす要素
購買の動機付けには、不満要素のみでは不十分。満足要素が積極的に働くことが不可欠。
→売り手は、不満要素を排除するために最大限の努力をしなければならない。
→売り手は、市場での満足要素や購買動機を見定め、供給しなければならない。
2:知覚 
人が与えられた情報を選別し、編成し、解釈し、そこから意味のある世界観を形成するプロセス。
知覚を定義するキーワードは「個人」。
知覚の3つのプロセス
1)選択的注意
刺激(情報)は日々膨大であるため、そのほとんどを意識から除外する。
刺激に対する傾向
@人は現在のニーズに関係のある刺激に反応しやすい。
A人は予想していた刺激に気づきやすい。
B人は普通の大きさの刺激に比べて偏りの大きい刺激に目を向ける。
2)選択的歪曲
情報の意味を、自分なりに曲げて解釈する。先入観に合うように解釈する。
3)選択的記憶
自分の態度や信念を裏付けてくれる刺激(情報)を覚えている傾向。
3:学習
経験によってもたらされる個人の行動変化。
人は学習することで行動する。
動因、刺激、手がかり、反応、強化の相互作用。
●一般化
●弁別
4:信念と態度
人は行動と学習を通して、信念と態度を身につける。
信念 → 人があるものに対して抱いている記述的な考え。
知識、意見、信仰、時として感情に根ざしている。
態度 → ある個人が持続して有する、物事や考えに対する好意的または非好意的な評価、感情、行動の傾向。

U.購買決定プロセス

■購買の役割分担
購買の役割分担は変化する。
1)発案者
2)影響者
3)決定者
4)購買者
5)使用者

■購買行動
複雑で高価な買い物になればなるほど、購買者はよく考え、購買に参加する人も多くなる。
高関与 低関与
ブランド間の違いが大きい 複雑な購買行動 バラエティ・シーキング購買行動
ブランド間の違いが小さい 不協和低減の購買行動 習慣的な購買行動
1)複雑な購買行動
第一段階 製品に対する信念を確立する。
第二段階 当該製品に対する態度を決定する
第三段階 慎重に吟味して選択する
→ 消費者が製品について学ぶことができる戦略を立てることが重要。
2)不協和低減の購買行動
不協和 不安や迷い
→ 企業は消費者が自分のブランド、製品選択に満足できる信念や評価を提供する必要がある。
3)習慣的な購買行動
消費者は、店に行き、目についたものを買う。
消費者は通常の購買プロセス(信念・態度・行動)をたどらない。
→ セールスプロモーション手段を利用して、製品の試用を訴求することが効果的。
4)バラエティ・シーキング購買行動
この場合のブランド・スイッチの要因は、不満ではなく、多様性を求めたい心理。
→ リーダーブランドとマイナーブランドで戦略を切り替える必要がある。
〔参考〕低関与を高関与の購買行動に変える
@消費者の関心がある事柄に製品を関連づける
A個人の状況に製品を結びつける
B個人の価値やエゴを刺激するような広告戦略を用いる
C製品に重要な特徴を加える
購買決定プロセスの諸段階
購買プロセスを知る方法
@内省法
A回想法
B予想法
C展望法

V.典型的な購買プロセスモデル

■問題意識
プロセスは、消費者が何らかの問題やニーズを認識したときに始まる。
ニーズ:内部刺激、外部刺激によって引き起こされる。
内部刺激:人間の通常のニーズが限界まで達して動因となる。
外部刺激:自分以外の刺激が動因となる。
→ 特定のニーズを引出す状況を明確にする必要がある。

■情報検索
覚醒された消費者は、さらに情報を求めようとする。
1)高められた注意
2)積極的な情報検索
消費者が頼りにする主な情報源
@個人的情報源
A商業的情報源
B公共的情報源
C経験的情報源
最も多くの情報 :
最も効果的な情報:
競合ブランドへの対応

■代替製品の評価
消費者の認知志向 意識して理性的な判断を下そうとする。
消費者の評価を助けるいくつかのコンセプト
@消費者は、ニーズを満足させたい。
A消費者は、製品というソリューションから、一定のベネフィットを得ようとする。
B消費者は、製品を製品属性の束だとみなしている。
消費者は、自ら評価した属性に基づいてブランド信念を確立する。
ブランド信仰の集まりが、ブランド・イメージになる。
属性評価プロセスを経て、ブランドに対する態度を決定する。
●属性評価プロセス
@重視する属性を決定する
A属性に点数をつける
B属性の比重(ウェイティング)を確認、決定する
C知覚価値を導き出す
→ 消費者の決定に影響を与える戦略
@製品の再設計 物理的リポジショニング
Aブランドに対する信念の変更
B重要度の比重変更
C無視された属性への注意喚起
D購買者の理想基準の変更

■購買決定
購買意図と購買決定の間にある2つの要素
1)他人の態度
@当該ブランドに対する他人の否定的態度の強さ
A他人の望みに合わせようとする購買者の動機づけ
2)予想外の状況要因
購買決定の変更、延期、忌避 → 知覚リスクの影響
知覚リスクの大きさ
@支払金額の大小
A製品属性の不確実性の度合い
B消費者の信頼の度合い
知覚リスクの軽減を図るための行為
消費者 →
企業  →
→ 企業は消費者を不安にさせる要素を察知し、知覚リスクの低減に努める必要がある。
購買決定のための5つの小さな決定
@ブランド決定
Aベンダー決定
B量の決定
C時期の決定
D支払方法の決定

■購買後の行動
1:購買後の満足度
期待と知覚パフォーマンスの差
2:購買後の行為
購買後の満足と最購買意欲には強い相関がある。
最高の広告は、満足した顧客である。
満足を得られなかった消費者の行動
・製品の廃棄・返品
・価値があることを保証する情報を探す
・製造会社へのクレーム
・弁護士、その他団体への嘆願、公的手段の行使
・当該製品の購入中止
・友人への警告
→ 企業は、購買後の顧客とのコミュニケーションによって、不満足の顧客に対応しなければならない。

V.購買後の利用と廃棄

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