今月の本はフランス革命の時代を舞台にした小説です。
1921年に発表されるとベストセラーとなりイギリス、アメリカで長く読み継がれ、映画化にもなりました。
物語のストーリーは主人公アンドレ・ルイ・モローが平民大衆(第三階級)の側に立ち、支配階級である貴族、なかでもラトゥール・ダジール侯爵と対峙していくという構図で構成されています。ブルタニー地方の若手弁護士であるルイは元々思想的には第三勢力に立っていたのではなく貴族の代理人として審議会にも出ており共和主義者に皮肉的な批評をする雄弁家としても知られていました。
しかし友人ヴィルモランが決闘の名のもとでダジール侯爵に殺害される場に立ち会うことに。その殺人はヴィルモランが持つ特権階級を攻撃する雄弁さが危険であると感じたダジール侯爵によって行われました。
ルイはヴィルモランの遺志を受け継ぎ、彼のごとく行動して彼を殺したダジール侯爵を追い詰めることを決意します。ダジール侯爵の悪事を国王代理判事に訴えるが聞き入られなかったルイ。直後に市民が殺害されたレンヌの街で今まで持っていなかった主義主張をヴィルモランの代理の気持ちで演説を行なったルイは大衆の心をつかみます。そしてナントの街でも演説を行い第三階級の議席を獲得する流れを確実なものにしていきます。
しかしルイは扇動罪で当局から終われる身に。即興劇団ビネ一座の一員として身を隠したルイは道化役者スカラムーシュとして舞台に立ちます。脚本も書くルイの活躍でビネ一座は一躍有名に。一流の作家になることも思い描くルイ。
しかしそこにはダジール侯爵との運命的な再会が待っていました。
ダジール侯爵が幼馴染の女性アリーヌと婚約したり、ルイが婚約したビネ座長の娘クリメーヌに手を出したりと感情は複雑に入り混じります。ルイはダジール侯爵に一矢を報いるために即興劇の舞台で事件を起こします。その結末は...。そしてアンドレ・ルイ・モローは演劇と作家の道を歩みペンの力で戦うのかそれともフランス革命の表舞台に躍り出るのか...。
国王代理判事に訴え出るときに際して、自分を育ててくれた名付け親であるケルカディウ伯爵は風車に突進したドン・キホーテを例に挙げて無謀な行動を思いとどまるようルイを説得します。その時ルイは次のように言います。
「もし風車が強すぎるようでしたら...」
「風のほうを何とかするようにつとめてみるつもりです」
この物語の結末は是非じっくりとお読みいただければと思います。
皆様の参加をお待ちしております。
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